小さな灯をともす ― 『星の王子さま』が教えてくれる“生きる美しさ”

こころの整え方

「星の王子さま」という物語をご存じでしょうか。
ある小さな惑星にひとりで暮らす王子さまが、宇宙を旅して最後に地球を訪れる――
そんなシンプルでいて、深いメッセージを持つお話です。

児童文学でありながら、その言葉の一つひとつには、大人だからこそ沁みる“生き方の哲学”が隠れています。

 


点燈夫という男

王子さまが旅の途中で訪れた星に、「点燈夫(てんとうふ)」という男がいました。
その星はとても小さく、街灯がひとつだけ。
点燈夫はその街灯を「夜に点けて、朝に消す」という仕事を黙々と続けています。

昔はのんびりできた仕事も、今では一日がたったの1分。
星の回転が速くなってしまったため、点燈夫は1分ごとに点けて消してを永遠に繰り返すことになりました。

王子さまが「歩いて日なたにいれば、点けたり消したりしなくていいよ」と助言しても、
彼は「それは規則に反する」と言って、忠実に自分の仕事を続けます。

旅を続けながら、王子さまは思い返します。

「彼はとても小さな星で、ひとつの灯りを守るだけの人。
でも、自分のためではなく、誰かのために働くその姿は、とても美しい。」

 


どんな日常にも“灯”がある

私たちの日々も、どこか点燈夫に似ています。
働くこと、家族を支えること、地域の中で役割を果たすこと。
そのどれもが、時に果てしなく感じられるかもしれません。

でも――
それこそが「生きる」ということ。
淡々と続く毎日こそが、誰かの灯を守るように、静かに美しい行いなのです。

 


今、ここにいるあなたへ

もし今、
自分がちっぽけに感じていても、
先が見えず不安でいっぱいでも――

あなたがしていることには必ず意味があります。
あなたが存在していることそのものに、温かな価値があります。

どうか、王子さまのように、
「あなた自身の友だち」として、
今ここにいる自分を、やさしく認めてあげてください。

その瞬間、あなたの心にもきっと、
小さな“灯り”がともるはずです。

 


 

🕊️ この記事は、日本心理カウンセラー養成学院(または日本総合カウンセリング)の講師によって過去に執筆された内容を再掲載したものです。
内容は当時の情報をもとにしていますが、今も心に響くテーマとしてお届けします。