安心・安全な場所 ― 感情と共に生きる心理学

こころの整え方

私たちが生きるこの世界は、
海、大地、空、そして自分と、
そのほかの人、こと、物、生き物など、
あらゆる存在で成り立っています。

だからこそ、自分の思い通りにならないことも多くあります。
人の力ではどうにもできないこと、
心が受け止めきれないほどの悲しい出来事、
苦しい経験も、誰にでも訪れます。

そんなとき、私たちはどうすれば良いのでしょうか。


「今、ここ」に気づくことから始めよう

とにもかくにも、まずは今この瞬間の自分に気づくこと。

悲しい気持ち、恥ずかしい気持ち、苦しい気持ちに
押しつぶされそうになっている自分に、
ただ気づくことが、実はとても大切です。

気づくことができたら、
「私は今、こんな感情に呑み込まれそうになっているなぁ」
と、認めてあげましょう。

その感情に蓋をせず、感じ切ることができれば、
やがてそれは浄化され、あなた自身を癒してくれます。

涙を流すこと。
怒りを吐き出すこと。
恐怖を表現すること。

それらは一見、辛い行為のように思えますが、
心の奥に溜まった感情を外に出すための、大切なプロセスです。


感情は、感じて初めて流れていく

押し込めた感情は、時間とともに薄れていくこともあります。
けれども、完全に消えるわけではありません。

感じ切らずに残った悲しみや怒りは、
いつの間にかあなたの性格や人間関係に影響を与え、
心の奥に“しこり”のように残ってしまうことがあります。

だからこそ、
もし今、あなたがその感情に呑み込まれそうなら――
思い切って感じ切る勇気を持ってみましょう。


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一人で抱え込まないで

ただし、ひとつだけ大切な注意点があります。

ネガティブな感情をひとりで処理しようとすると、
その渦に飲まれてしまうことがあります。

そうなると、抜け出すのがとても難しく、
心も身体も疲弊してしまうのです。

だから、どうか安心・安全な場所で感情と向き合ってください。

信頼できるカウンセラー、
同じような悩みを共有できる仲間、
何を話しても受け止めてくれる友人や家族…。

「私は独りじゃない」
そう感じられる場所が、きっとあなたを支えてくれます。

あなたには、そんな安心できる場所がありますか?


私自身の体験から

私も、これまでたくさん傷ついてきました。
父、母、姉との関係。
学校でのいじめ、社会での挫折…。

けれど、心理学を学び、
自分自身と向き合い続けてきたことで、
そのすべてが「今ここにいる私」を形作っているのだと
思えるようになりました。

日々の体験は、これからも増えていきます。
そのたびに、また新しい感情が生まれるでしょう。

でも今は、それを大切に味わえること自体が楽しみだと感じています。


安心・安全な場所を、共に

当学院も、学ぶための場所であると同時に、
ここに集う皆さん、そして私たちスタッフにとっての
**「安心・安全な場所」**でありたいと思っています。

そして私自身も、
誰かにとって安心・安全を感じてもらえる存在でありたい。

この文章を書きながら、
あらためてその思いを強くしています(^^)

このメッセージを読んでくださるあなたが、
どうか自分にとっての安心・安全な居場所を見つけられますように。

そして、
あなた自身が誰かにとっての安心できる存在でありますように。

🕊️ この記事は、日本心理カウンセラー養成学院(JTC心理学院)の講師によって2016年に執筆された内容を再掲載したものです。
内容は当時の情報をもとにしていますが、今も心に響くテーマとしてお届けします。