うつと診断され、
思うように体が動かなかったり、
頭が働かなくなったり、
自分が自分でわからなくなるような苦しさを抱えてしまう──
そんな方に出会うことがあります。
もちろん、状況も症状も人それぞれ。
それでも私がお伝えしたいのは、たったひとつ。
「いま、できていることを“できている”と認めること」
そして
「今、この瞬間を少しでも心地よく過ごすこと」
です。
◆ “できないこと”ばかりが目につく理由
私たちはつい、
「できて当たり前」
「持っていて当然」
というポジティブな部分を軽く扱い、
足りないところばかりに意識が向きがちです。
上昇志向があるからこそ、
できない部分を課題にして努力することは素晴らしいことです。
でも、
-
「できない、できない」
-
「足りない、足りない」
と、心の中で繰り返し続けてしまうと、
まるで自分に呪文のように
「私はできない人間だ」
という暗示をかけてしまうことがあります。
◆ 苦しみに寄り添いながら
「言われても、そんな簡単には変われない」
「この苦しみは、いつまで続くの?」
そんな声も、きっとあると思います。
正直に言うと、いつ治るのかという日にちは誰にもわかりません。
でも私は、
うつは必ず良くなる
と、本気で信じています。
今日は、そんな私が感じた小さな“気づき”をひとつだけ。
◆ ストラップシューズと、朝の小さな発見
この秋から、足首でスナップを留めるストラップシューズを履いています。
ところが、途中からそのスナップが外れにくくなり、
毎日、脱ぎ履きのたびに小さなストレスを感じていました。
今朝、いつものように靴を履こうとした時。
別のことを考えながら手を動かしていると、
驚くほどすんなりとストラップが通りました。
もしかしたら、時間はいつもと同じくらいだったのかもしれません。
でも、不思議とストレスは感じませんでした。
その瞬間、ふっと気づいたのです。
「同じ作業でも、心の向け方次第で、こんなに感じ方が違うんだ」
◆ うつの苦しみと「今の一瞬」
うつでつらい時、
一番苦しいのは、
「この状態がいつまで続くんだろう」という
未来への不安や絶望感です。
だから、
「いつか必ず治る」
という光を、どんなに小さくても心の中に置いておくこと。
そして、
-
未来の不安とは少し距離を取り
-
今の一瞬を、なるべく心地よくする
-
暗くない方へ、温かい方へ、ほんの少しだけ向く
この積み重ねが、うつという長いトンネルの出口へと
あなたを少しずつ導いてくれます。

◆ 最後に
「いつか必ず治る。
だから今、できていることを喜んで、
できる範囲で、明るく温かく過ごす。」
もし今つらさを抱えているなら、
この言葉が、そっとあなたの心に触れますように。
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🕊️ この記事は、日本心理カウンセラー養成学院(JTC心理学院)の講師によって過去に執筆された内容を再掲載したものです。
内容は当時の情報をもとにしていますが、今も心に響くテーマとしてお届けします。


