「心配」と「信頼」― たった一文字の違いが、心の距離を変える心理学

こころの整え方

私はずっと「心配する母」でした。
子どものこと、家族のこと。
毎日、心配ばかりしていたように思います。

親が子どもを心配するのは自然なことです。
むしろ「心配=愛情の証」だと考える人も多いでしょう。

でも、ふと立ち止まって考えてみると――

 

心配って、誰のための気持ちなんだろう?


1. 「心配」は、相手のため?それとも自分のため?

私が娘の摂食障害で悩んでいた頃、
「あなたが食べないから心配で仕方ないの!」
と何度も伝えていました。

でもその“心配”の言葉を聞くたびに、
娘はますます食べられなくなっていきました。

今ならわかります。
あの時の私は、娘のためではなく、
「不安な自分を落ち着かせるため」に心配していたのです。

 


2. 心配という名の“コントロール”

「あなたのためを思って」と言いながら、
実は“自分が不安にならないように”
相手を変えようとしてしまう――
それが「心配」という形を取ったコントロールでした。

心配される側は、こう感じてしまいます。

 

「自分はこのままでは心配をかけるダメな人間だ…」

 

そして、“いい子”を演じ続けてしまう。
私の娘もそうでした。

彼女の「食べない」という行為は、
私の心配=コントロールに対する、
精一杯の反抗と自己表現だったのだと思います。

 


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3. 「心配」から「信頼」へ ― 愛のかたちを変える

娘が本当に求めていたのは、
「そんなあなたでも大丈夫」と

まるごと受け入れられること

“信頼”とは、
相手を変えようとせず、
ただありのままを見守ること。

それは簡単ではありません。
でも、信頼されていると感じたとき、
人は自分自身をも信じられるようになります。

「こんな自分でも大丈夫なんだ」

そう思えたとき、人は本当に強くなれるのです。

 


4. たった一文字の違いに、愛の深さがある

「しんぱい」と「しんらい」。
たった一文字の違いですが、
そこには大きな心の距離があります。

心配しない人なんていません。
でも、その「心配」がどこから来ているのか、
自分の内側を見つめることができたら――

少しずつ、その「しんぱい」は
あたたかな「しんらい」へと変わっていくはずです🌱

 


 

 

🕊️ この記事は、日本心理カウンセラー養成学院(または日本総合カウンセリング)の講師によって過去に執筆された内容を再掲載したものです。
内容は当時の情報をもとにしていますが、今も心に響くテーマとしてお届けします。