「何をしても無駄」と思ってしまう時に ― セリグマンの“学習性無力感”からの気づき

こころの整え方

うつ病の研究で有名なアメリカの心理学者、セリグマンの実験をご存じでしょうか。

ワンちゃんを身動きできないようにハンモックで吊るして、電気ショックを1日に64回与えました…。
(このお話で心が痛む方、すみません。私もこの部分は読むたびに胸が痛みます…)

翌日、ハードルで2つの部屋に仕切られた装置に入れ、同じように電気ショックを与えます。
ハンモックに吊るされただけでショックを受けなかったワンちゃんは、すぐにハードルを飛び越えて逃げ方を覚えました。
しかし、64回の電気ショックを受けたワンちゃんは、ハードルを飛び越えることを覚えられなかったのです。

「何をしても無駄…」
そう学んでしまったワンちゃんは、ただ耐えるだけになってしまいました。

 


思い込みが、心の自由を奪うことがある

私たち人間も同じように、
「頑張っても報われない」「どうせうまくいかない」
といった思い込みに縛られてしまうことがあります。

そして、「もっと頑張らなきゃ」と自分を追い込み、
うまくいかないたびにさらに苦しむ…。
やがて、何もする気が起きなくなることもあります。

でもその根底には、“強固な思い込み”が隠れているのかもしれません。
しかも、人間は論理的に考える力があるからこそ、
その思い込みが、さらに複雑で抜け出しにくいものになってしまうこともあります。

 


自分の「思い込み」に気づく力を育てる

けれども、逆に考えると——
私たち人間には「自分の中で何が起きているのか」を理解し、
論理的に整理できる力も備わっています。

心理カウンセリングは、その気づきを助けてくれます。
そして心理学を学ぶことは、
「そうか、そういうことだったんだ」と自分を深く理解するための大きな手助けになります。

心理学を学びながらカウンセリングを受けていくことは、
自己理解と成長のスピードを加速させる体験になるでしょう。

 


一歩を踏み出す勇気を

もし今、あなたが「じっと耐えるだけの日々」にいるなら、
どうか一歩を踏み出してみてください。

「ああ、このハードルを越えればいいだけだったんだ」
そう気づく瞬間が、いつかきっと訪れます。

私たちは、いつでも自分の中の「思い込み」を手放して、
新しい自分に出会うことができるのです。

 


🕊️ この記事は、日本心理カウンセラー養成学院(日本総合カウンセリング)の講師によって過去に執筆された内容を再掲載したものです。
内容は当時の情報をもとにしていますが、今も心に響くテーマとしてお届けします。